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アメリカ人も知らないカレッジとユニバーシティの違い

日本では「カレッジ」と「ユニバーシティ」はどちらも「大学」と訳されがちですが、国によって「カレッジ」が意味する学校は異なります。この事実は海外に留学をする多くの学生を混乱させています。

実はアメリカでもこの2つの違いが判らなくなる人が多く、願書を出す時期になると新聞などで取り上げられる話題です。留学をする際、自分に合った学校を見極めるためにも、「カレッジ」と「ユニバーシティ」の違いを知っておきましょう。

アメリカでのカレッジとユニバーシティ

アメリカではカレッジもユニバーシティも4年制大学を指します。2つの異なる点がサイズと学習内容です。多くの場合カレッジは規模が小さく、学士号を取得できる学部教育に焦点を当てています。専門的に何かを学ぶというよりは、幅広く学ぶことを重視していることが特長です。

特に研究よりも教育に力を入れ、幅広い教養を身に付けたリーダーの育成に力を注ぐリベラルアーツカレッジは、教育の質を保つため、あえて小規模であることにこだわっています。また入学時に専攻を決める必要がなく、3年次に専攻を決めるのが一般的となっているため、何を専攻にするかじっくり決めたい方にもお勧めです。ほとんどのリベラルアーツカレッジが全寮制で郊外にあるので、学習に集中できる環境となっています。

一方でユニバーシティは規模が大きく、専門的かつ実践的な教育に重点を置いています。大学院過程があるところが多く、複数の学部や研究科がシステム内に存在しています。これらの学部や研究科もカレッジやスクールと称されるので、混同してしまいがちです。

ユニバーシティの方がカレッジよりもレベルが高いと思われがちですが、それは間違った見解です。Dartmouth CollegeやWilliams Collegeなど、カレッジと呼ばれる名門大学もあります。Harvard Universityも以前はHarvard Collegeでしたが、1782年に医学部が設立されたことをきっかけにユニバーシティとなりました。このようにかつてカレッジと名乗っていたユニバーシティも豊富にあります。

アメリカでは学校間の編入も珍しくなく、リベラルアーツカレッジで2年学んだ後にユニバーシティに編入する方法もあります。

コミュニティカレッジとは?

コミュニティカレッジは公立の2年制大学です。地域住民のために作られた学校で、地元の学生を優先的に受け入れています。「望めば誰でも学べる」というポリシーを掲げているため、入学難易度が低く、学費も低価格に抑えられ、さらに地元住民への就職訓練に重点を置いていることが特長です。

実はアメリカではコロナが落ち着いた後も4年制大学への入学者数が戻っていません。その代わり、学費が安く就職にもつながりやすいコミュニティカレッジへの入学者数が2023年には10年ぶりに増えました。

英語力が大学の入学条件に満たない学生や学費を抑えたい学生が、コミュニティカレッジで2年学び、そこで得た単位を持って4年制大学に編入する方法を取ることも一般的です。コミュニティカレッジの大半が、4年制大学への編入を前提としたカリキュラムを持っていて、卒業後はほぼどの州の4年制大学へも編入が可能です。同じ州内なら単位をほとんど移行できるため、スムーズに編入ができるでしょう。

そのほかの国のカレッジとユニバーシティ

イギリスでは「カレッジ」と「ユニバーシティ」だけでなく、「ハイスクール」もアメリカとは異なる使い方をしています。ハイスクールは11歳から16歳の学生が通う義務教育を行う学校で、カレッジは義務教育を終えた人が通う学校です。

カレッジではGCSEsやAレベルと呼ばれる、大学進学に必要なコースを提供しています。アートや調理など、専門学校のような分野を学べるカレッジも少なくありません。

またハイスクールの中には「シックスフォーム」と呼ばれる施設がある学校もあり、そちらでも大学入試に必要なGCSEsやAレベルを取得することが可能です。一般的なハイスクールと異なり、16歳以上の学生がいることも、シックスフォームのあるハイスクールの特長です。

イギリスにおけるユニバーシティとは、オックスフォード大学やケンブリッジ大学のような総合大学のことを指します。ユニバーシティ内にある教授や学生が所属する研究所がカレッジと呼ばれていることは、アメリカと同じです。

カナダではユニバーシティは学問をする場所、カレッジは就職に必要な知識やスキルを身に付ける場所と分かれています。一部4年制の学士号を取得できる4年制のカレッジもありますが、一般的には準学士号や卒業証明書、履修過程の認定修了書を取得できる2年制です。

留学先を検討する際、カレッジやユニバーシティにこだわる必要はありません(特にアメリカ)。カレッジが大学名についていても博士課程がある大学があり、ユニバーシティが大学名についたリベラルアーツカレッジもあるからです。

重要なのは大学名ではなく、「あなたに適しているかどうか」。
学びたいことが決まっている方は専門性や学部、設備などを重視して選ぶ、専門的に学びたいことが決まっていない方は幅広い教養を身に付けられる学校を選ぶ、就職につながりやすいコースがある、寮がある、クラスが少人数など、希望する条件に合わせて学校を絞りつつ、じっくりと納得のいく留学先を選んでください。