留学情報

企業が求める人物像の変化

近年、海外展開を積極的に検討する日本企業が増加傾向にあります。
これは、日本の人口減少問題や市場のグローバル化を背景に、国内のみでビジネスを展開していくことに限界を感じる企業が増えているためです。
新型コロナウイルス感染症の流行により世界経済がストップしたことからもわかるように、世界は経済を通じて繋がっており、こうした世界情勢の変化の中で企業が求める人物像も変わりつつあります。

日本企業の海外展開

はじめに、国内企業の海外展開の傾向についてご紹介します。
独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)が実施した「2021年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」の結果によれば、既に輸出を行っている国内企業の82.8%が「輸出の拡大を図る」と回答しています。
この結果は、2015年来の高水準となっており、中でも「さらに拡大を図る」と回答した企業は、過去最大の75.2%にも上りました。
こうした調査結果からもわかるように、海外展開に積極的な姿勢を取る日本企業は増加傾向にあります。

企業が求めるグローバルな人物像とは

海外展開を進める上で、グローバルな人材の確保は必須です。
海外展開を進める企業が増えれば、グローバルな人材の需要も高まっていくと言えるでしょう。
グローバルな人材というのは、高い語学力(英語力)はもちろん、その他にも、多様な文化の中でも信頼関係が築けるコミュニケーション能力や、何事にも動じないタフなマインドを兼ね備えていることが求められます。

留学は就職活動に不利?

すでに述べた通り、海外留学者を求める企業は国内外を問わず増加傾向にあります。
文部科学省が官民協働で取り組んでいる留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」が2017年に実施した、「派遣留学生の就職活動調査」では、留学帰国生の約9割が「留学経験が就職活動に良い影響を与えた」と回答しています。
このことから、留学帰国生の多くが、海外留学の経験を就職活動に活かしていることがわかります。
また同キャンペーンが2019年に実施した「就職活動と留学に関する意識調査」によれば、企業採用担当の73.9%が「留年や休学は採用においてマイナス評価にならない」と回答しています。
さらに、企業採用担当の65.5%が「留学中の学生のための選考における配慮(オンライン面接・採用時期の変更)を実施・強化したい」と回答(前年比4.4%増)するなど、留学や留学経験者に対する企業の理解が進んでいます。
これらの調査結果からも、企業が留学生を求める傾向が高まっていることが読み取れます。
海外留学の経験が就職活動に不利になるという考えは、過去のものと言えるでしょう。

企業が留学経験者に期待すること

それでは、企業採用担当者は、留学経験者に対しどのような能力を期待しているのでしょうか。
昨今の教育において注目されている能力に“非認知能力”というものがあります。
これは、偏差値やIQといった数値では測ることのできない、外交性や協調性、粘り強さなど、社会を生き抜く上で重要な能力のことを指します。
同調査内の、企業採用担当者に対する“留学で得てほしいこと”を尋ねる調査では「何事にも挑戦するチャレンジ精神」(68.7%)、「コミュニケーション能力」(62.1%)、「広い視野で物事を捉える力」(49.4%)が上位3項目にあがり、4位の語学(英語)の取得を上回るという結果が出ています。
こうした結果から、企業が留学経験者に高い“非認知能力”を期待していることがわかります。

まとめ

在学中に海外留学という選択をすることが、就職活動に不利に働くのではないかと不安に感じていた方もいることでしょう。
しかし、多くの企業が海外への事業展開を積極的に進める中、グローバルな人材の需要は急速な高まりを見せ、企業側の留学帰国生への配慮も着実に進んでいます。
グローバル化が進む昨今の世界情勢の中で、海外留学という投資は皆さんのキャリアの市場価値を大きく高めます。
海外留学を通して真のグローバル人材へとステップアップし「日本でしか働けない」ではなく、「日本でも働ける」を目指しましょう。

(参考資料)
2021年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査
派遣留学生の就職活動調査
就職活動と留学に関する意識調査